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可視化された集団的分析を組織課題の解決に活用

53年の歴史を持つIT業界の老舗、株式会社大和システムクリエートは、駒木さんが社長に就任した2015年より事業構造改革を推進。次なるアクションとして社員教育に注力するとともに、メンタルヘルスの維持・向上策を進めている。

明瞭になった世代間の意識ギャップ

  • 2015年1月に同社の代表取締役社長に就任した駒木慎治さんは、数多くの企業の事業再生を成功に導いてきた人物だ。製紙大手の三菱製紙株式会社や専門機械商社西華産業株式会社、ITベンチャーのソフトブレーン株式会社など都合16社でビジネス経験を持ち、同社で四社目の社長就任となる。
    「中国事業等のアドバイザーとして社外取締役で入社後、わずか半年で社長に就任し事業の立て直しを任されたのです。入ったときは七期連続業績不振という、どん底の経営状態。創立50周年を目前にして何とか黒字にしなければと、就任初年度から事業構造改革に着手しました。その結果、1年で黒字化し、V字回復を果たすことができました。」と、駒木さんは当時を振り返る。

    IT業界には珍しく新卒採用のみで、先輩社員が新人を育成し、技術やノウハウを継承するという実践教育(ビッグブラザー制度)が同社の特徴。駒木さんが主眼を置いたのは、若手社員の意見を吸い上げることだった。入社1年目から6年目の若手社員全員と全管理職に面談し、差異がどこにあるかをあぶり出し、組織の問題点を明らかにするところから事業再生をはかっていったという。
    「経営会議で管理職にいったことが社員に伝わらない。若手社員が思っていることと、管理職が思っていることのギャップが大きい。あらためて若手を強くしなければいけないと認識しました。」
    若手社員の活性化を一義に、大幅な組織改革を断行。それまで縦割りでほぼ部門メンバーは固定化していたが、顧客単位の部門対応から業態別部門対応に切り替えることで、社員の流動性を高め、さまざまな経験を積む機会を増やしていった。また、新規案件を扱うソリューション開発部門も新設した。
    「新卒採用を踏襲してきたことで、創業社是『誠実、勤勉、技術力』の精神を継承し、技術者としては優秀で素直な社員が多い半面、挑戦する気力が足りないと感じたのです。安定性を重視して、新規案件の拡大を推進する積極性に欠けている面が見受けられました。そこで、30歳代までは必ずローテーションを行うよう指示しました。」

ストレスチェックは実施後の対応が鍵

  • 同社はスピーディーな事業構造改革が奏功し、四年連続で増収を達成。昨年度からは社員育成とメンタルヘルス対策の強化に取り組み始めた。ストレスチェックについては、駒木さんや人事担当者がストレスケアの講習会に参加し、自社に適したプログラムや取り組み方を検討。同時期に、駒木さんの知人から株式会社ユコラのクラウド型ストレスチェック・プログラム「メンタルエクスプレス®」を紹介され、提案内容を吟味した上で導入を決定した。
    「正直、ストレスチェックのソフト自体の比較検討は難しいと思います。現在、数多くのプログラムがある中で同社のプログラムを採用したのは、ストレスチェック実施後にどうすべきかについての提案がしっかりしていたからです。提案時の報告会は年1回ということでしたが、変換の推移を見たいので半年に1回の報告会の実施を依頼しました。
    集団的分析は組織の傾向が可視化されることで、それまで感覚的に思っていた課題が数値化されて明白になり、次のアクションにつなげることができると納得しました。」(駒木さん)
    また、担当役員である照井智さんは、「ストレスチェックの結果を見ることで、社員が自身のメンタルヘルスについて気にするようになったことは、とても良かったと思います。中には、結果について上長に相談する社員も出てきました。」と話す。

    元来、IT業界はメンタルヘルス不調者が多い業種であるといわれており、自分でも気付かないうちにストレスをため込む人が多い。職場のメンタルヘルスケアでは、「いつもと違う」部下に気付くこと、すなわちラインケアの重要性が示されている一方、プレイングマネジャーである管理職の中には、部下のようすを気に掛ける余裕のない人も多いだろう。
    「社長の仕事は社員一人ひとりの個性を生かすこと。それで会社は伸びるわけですが、その役割を徐々に管理職にやってほしいと思っています。営業目標の達成ばかり考えて、部下に興味がない管理職ではだめです。気に掛けていれば、表情一つでも部下の変化に気付きます。私は気軽に声を掛けて、ざっくばらんに仕事以外の話もしています。
    ストレスは人によって感じ方が違い、また毎日変わるものでもあります。本人のみならず上司も同僚も、誰もメンタルヘルス不調に気付かない職場がいちばん問題。そのためには、管理職の育成が急務であると考えています。」(駒木さん)
  • 代表取締役社長 駒木 慎治さん(右)
    執行役員 管理本部 副本部長 照井 智さん(左)


    同社では、5年ごとに行われる社員旅行をはじめ、毎年さまざまな行事やイベントが開催されている。

管理職の意識改革と衛生委員会の強化に注力

  • 同社では、ストレスチェックの実施に続いて、性格診断ソフトを導入した。タイプ別の性格や行動パターンを、プロジェクトチーム編成に生かしていくという。ストレスチェックの集団的分析で明らかになった組織課題については、まず管理職クラスの教育から始め、その後、若手社員へと段階的に展開していく計画だ。照井さんは、今後の取り組みについて、次のように説明した。

    「ストレスチェック結果を見て相談に来る社員にどのように対応していくか。衛生管理者を含め、衛生委員会を活性化させる必要があり、委員の意識改革に取り組んでいます。また、現在は駒木に直接相談する社員が少なくありませんが、会社として正式な相談窓口を設置し、症状に応じて専門医を紹介するなど、体制作りも急がれます。」
    同社は今年に入り、二社のM&Aを実行した。今後も積極的にM&Aを進め、100年企業に向けて果敢に挑戦していく、と駒木さんは力強く語る。
    「50歳代になっても働く意欲をどう持たせるか。新卒で入社して30年間ITでやってきた社員を変えようとしても、まず変わらないでしょう。そうであれば、会社の方が変わっていくしかない。これまでの事業体にこだわらず、いろいろな可能性を追求していきます。」

    月間総務 2019年12月号(2019年11月11日発売 No.694)

  • チャック・ウィルソン氏が大会実行委員長を務める「NIPPON IT チャリティ駅伝」には4年連続で協賛。今年は選抜メンバー3チームがランナーとしてエントリーした。

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